読書の意味と人生哲学が学べる名著『死ぬほど読書』

 丹波宇一郎さんが書いた『死ぬほど読書』という本を読んでみました。

 

 丹波さんは伊藤忠商事の社長を務めた後、日本郵政の取締役、国際連合世界食糧計画協会会長などを歴任し、民間出身としては初の中国大使に就任した方です。現在は早稲田大学特命教授、伊藤忠商事名誉理事になっています。

 

 この本は『死ぬほど読書』という題名で、読書に関する本と考えてしまうのですが、読書だけでなく丹波さんの読書と仕事を中心とする人生哲学について書かれた本です。

 この本を通して、丹羽さんは「読書と仕事は人間を成長させてくれるものであり、双方に取り組むことでより一層の効果が得られる」という事を説いています。

 

私は読書が好きなので、読書の取り組み方や意義について知りたいなという思いでこの本を手に取ったのですが、丹羽さんの人生観に触れ非常に温かい気持ちになることができました。

 

 もっとも感動した項は「生きている限り、人にはやるべき仕事がある」という項です。

 読書とはあまり関係のない項ですが、忙しい読者の方々にもこの項は読んでいただきたいと思います。

 

 この項では、「人として生きていく上で大事なのは、仕事と読書と人間関係と、そこから来る人間への理解」と書かれています。

 仕事といっても、お金を稼ぐことだけではなく、ボランティアや社会運動など少しでも他の人や社会に貢献する活動をする事をすべきであるそうです。

 仕事をする事で、人間というものを理解し、読書をする事で、仕事の姿勢を正す事が出来ます。

 仕事の姿勢を読書が正すとは、本で学んだ事がなんらかの形で仕事に生かされて、仕事で経験した事が本を読む事で整理されるという事です。このように読書と仕事は互いに良いフィードバックになるのです。

 

 僕の大好きな『七つの習慣』でも大切なことは、知恵、精神、肉体を磨くことであると説いていましたが、『死ぬほど読書』も同じ様な主張がされていました。

 2冊の異なる本から同じような人生に対して必要な事を学ぶ事が出来たのは非常に有意義であったと思います。

 

 この本で、丹羽さんはどのような本を読めば良いかという事に関しても書いています。

 

 丹羽さん曰く、好きな本を読み、その読んだ本から新たな興味が生まれるので、自然と読む本のレベルも上がって行くのだそうです。

 無理に難しい本を読む必要はないのです。

 私は最近、見識を深めるために難しい本を読もうと意気込んでいましたが、丹羽さんの主張を聞いて、自分の好きな本をどんどん読んでいこうという考えに変わりました。

 余談ですが、丹羽さんは中学生時代には官能小説にはまり、嫌という程読んだ結果、興味がなくなり、他の本を読み、どんどん読書のレベルが上がったそうです。

 

 読書好きな方も、仕事に関して考えを巡らせている方にもおすすめな本です。